2016年1月~6月までのジカ熱流行件数1880件(アメリカ疾病予防管理センターより)
ジカ熱(Zika fever)もしくはジカウイルス感染症(Zika virus disease)は、フラビウイルス科のジカウイルスによって引き起こされる病気。 1947年にウガンダのジカ森で樹上生活を営むアカゲザルからウィルスが確認され、最初の流行は2007年にミクロネシア連邦のヤップ島、ついで、2015年12月からアメリカ大陸で流行した。 日本では2016年2月5日に、4類感染症として指定されている。
ジカ熱はデング熱及びチクングニア熱と同様に蚊を介して感染するが、デング熱などと異なり、ジカウイルスに感染しても症状がないか、症状が軽いため気付きにくいことがある。
妊婦がジカウイルスに感染した場合、母子感染を引き起こす可能性があり、新生児の小頭症との関連性が強く疑われている。 また、身体(特に四肢)に麻痺を引き起こすギラン・バレー症候群との関係性も指摘されている。
ジカウイルスを媒介する蚊に刺されてからの潜伏期間は不明だが、数日から1週間とみなされている。80%のケースが、無症候。 主な症状は軽度の発熱、結膜充血、筋肉痛、関節痛、頭痛、斑点状丘疹。 デング熱やチクングニア熱と似ているが、発熱などはデング熱と比べると軽い。現在有効な薬剤やワクチンはなく、対処としては安静にするのみ。 デング熱と比べると症状は穏やかであり4日から1週間で終息する。入院が必要になることは希であり、2016年1月末現在ジカ熱を直接的な原因とする死者は報告されていない。
有効なワクチンは存在しないため、やはり蚊に刺されないように予防することが重要。 長袖・長ズボンを着用し、肌の露出部を減らす、防虫剤や網戸・蚊帳を使用することなどが推奨されている。
※インコグニート天然虫よけスプレーは、全ての種類の蚊だけではなく、ダニ・ノミ・サシバエ等の吸血虫にも有効です。
インコグニート社長「Howard Carter」が、イギリスのBBCテレビでジカ熱危機について語りました。ジカウイルスは蚊を介して拡散され、ネッタイシマカとヒトスジシマカという日中活動する蚊によって運ばれます。incognito®スプレーは、繰り返しテストを行い、この2種類の蚊に対して、100%有効であることが証明されています。
ジカウイルス感染症は、ジカウイルス病と先天性ジカウイルス感染症をいいます。 ジカウイルス病は、後天的に、ジカウイルスが感染することにより起こる感染症で、軽度の発熱、発疹、結膜炎、関節痛、筋肉痛、倦怠感、頭痛などが主な症状です。 ジカウイルスは母体から胎児への感染を起こすことがあり(先天性ジカウイルス感染症)、小頭症などの先天性障害を起こす可能性があります。
ジカウイルスを持った蚊がヒトを吸血することで感染します(蚊媒介性)。基本的に、感染したヒトから他のヒトに直接感染するような病気で はありませんが、輸血や性行為によって感染する場合もあります。また、感染しても全員が発症するわけではなく、症状がないか、症状が軽いため気付かないこともあります。 妊娠中の女性が感染すると胎児に感染する可能性があります。
アフリカ、中南米、アジア太平洋地域で発生があります。特に、近年は中南米等で流行しています。 詳しくはジカウイルス感染症の流行地域を確認してください。
日本国内で感染した症例はありません。海外の流行地域で感染し、発症した症例が、 2013 年以降、9例(うち、今回の中南米の流行後は6例)国内で見つかっています。 IASR(2014年2月号)フランス領ポリネシア・ボラボラ島帰国後にZika feverと診断された日本人旅行者の2例 IASR(2014年10月号)タイ・サムイ島から帰国後にジカ熱と診断された日本人旅行者の1例
ヤブカ属のネッタイシマカやヒトスジシマカが、ウイルスを媒介することが確認されています。ネッタイシマカは、日本には常在していませんが、ヒトスジシマカは、日本のほとんどの地域(秋田県および岩手県以南)でみられます。
ジカウイルスに対する特有の薬は見つかっておりません。対症療法となります。
ジカウイルス病は、感染しても 症状がないか、症状が軽いため気付きにくいこともあります。症状は軽く、2~7日続いた後に治り、予後は比較的良好な感染症です。
ブラジル保健省は、妊娠中のジカウイルス感染と胎児の小頭症に関連がみられるとの発表をしており、 2016 年1月 15 日には、米国 CDC が、妊娠中のジカウイルス感染と小頭症との関連についてより詳細な調査結果が得られるまでは、流行国地域(問 3 参照)への妊婦の方の渡航を控えるよう警告し、 妊娠予定の女性に対しても主治医と相談の上で、厳密な防蚊対策を推奨しました。 1 月21日には、 ECDC (欧州疾病対策センター)は、流行地域への妊婦及び妊娠予定の方の渡航を控えることを推奨しました。世界保健機関(WHO)は、 2 月 1 日に、緊急委員会を開催し、小頭症及びその他の神経障害の集団発生に関する「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態( PHEIC )」を宣言しました。また、3月8日に、第2回目の緊急委員会を開催し、渡航に関して以下の勧告等を発表しました。
WHOは3月31日、米国CDCは4月13日、これまでの研究結果から、ジカウイルス感染が小頭症等の原因となるとの科学的同意が得られたと結論づけました。 なお、現在、小頭症や他の神経障害とジカウイルスとの関連についての更なる調査が行われています。
海外の流行地域にでかける際は、蚊に刺されないように注意しましょう。長袖、長ズボンの着用が推奨されます。また蚊の忌避剤なども現地では利用されています。 妊娠中にジカウイルスに感染すると、胎児に小頭症等の先天性障害を来すことがあることから、妊婦及び妊娠の可能性がある方については、流行地への渡航を控えた方がよいとされています。やむを得ず渡航する場合は、主治医と相談の上で、厳密に蚊に刺されないようにする対策を講じることが必要です。また、性行為感染のリスクを考慮し、流行地域に滞在中は、症状の有無にかかわらず、性行為の際にコンドームを使用するか性行為を控えることを推奨します。
性行為により男性から女性パートナーへの感染伝播が疑われている事例が報告されています。現在、性行為による感染についての十分な知見は得られていませんが、性行為感染のリスクを考慮し、流行地域に滞在中は症状の有無にかかわらず、性行為の際にコンドームを使用するか性行為を控えること、流行地域から帰国した男性は、症状の有無にかかわらず、最低4週間、パートナーが妊婦の場合は妊娠期間中、性行為の際に、コンドームを使用するか性行為を控えることを推奨します。 また、母体から胎児への感染のリスクを考慮し、流行地域から帰国した女性は、帰国後最低4週間は、妊娠を控えることを推奨します。 WHOは、2月18日に、性行為による感染予防について、暫定ガイダンスを出しました。その概要は、次のとおりです。
なお、詳細については、以下のHPを確認してください。
世界保健機関(WHO)ホームページ
国内では、「ディー ト」や「イカリジン」を成分とした忌避剤が市販されています。中南米の蚊にも効果があります。製品の用法・用量や使用上の注意を守って使用します。 製品の忌避効果は、蒸発、雨、発汗などにより持続性が低下するので、一定の効果を得るためには、定期的に再塗布することが必要です。
ジカウイルス感染症に有効なワクチンはありません。
すべての蚊がジカウイルスを保有している訳ではないので、蚊に刺されたことだけで過分に心配する必要はありません。 心配な場合は、帰国された際に、空港等の検疫所でご相談ください。また、帰国後に心配なことがある場合は、最寄りの保健所等に御相談ください。なお、発熱などの症状がある場合には、医療機関を受診してください。
日本にはジカウイルスの媒介蚊であるヒトスジシマカが秋田県および岩手県以南のほとんどの地域に生息しています。このことから、仮に流行地域でウイルスに感染した発症期の人(日本人帰国者ないしは外国人旅行者)が国内で蚊にさされ、その蚊がたまたま他者 を吸血した場合に、感染する可能性は低いながらもあり得ます。 ただし、仮にそのようなことが起きたとしても、成虫は冬を越えて生息できず、限定された場 所での一過性の感染と考えられます。(ヒトスジシマカは卵で越冬しますが、ウイルスがその卵の中で越冬するという報告はありません。) なお、ヒトスジシマカは、日中、野外での活動性が高く、活動範囲は50~100メートル程度です。国内の活動時期は概ね5月中旬~10月下旬頃までです。
フラビウイルス科フラビウイルス属に属するジカウイルスです。
2 ~12日(多くは2~7日)と言われています。
主として軽度の発熱、斑丘疹、結膜炎、関節痛、筋肉痛、疲労感、倦怠感、頭痛などを呈します。これらの症状は軽く、 2 ~ 7 日続いて治まります。血小板減少などが認められることもありますが、他の蚊媒介感染症であるデング熱やチクングニア熱より軽症と言われています。
これまでの研究結果から、WHOや米国CDCは、ジカウイルス感染が小頭症の原因となること、また、WHOはジカウイルス感染がギラン・バレー症候群の原因になることについて科学的同意が得られたと結論づけました。
特異的な臨床症状・検査所見が乏しいことから、診断のための検査は、血液または尿からのウイルス分離または PCR 法による病原体遺伝子の検出により行います。血清学的検査による診断は、IgM抗体または中和試験による抗体の検出により行います。
なお、IgM抗体を用いて診断を行う場合は、患者が感染したと考えられる地域で流行中のその他のフラビウイルス属ウイルス(デング熱、黄熱、ウエストナイル熱、日本脳炎等)による先行感染又は共感染がないこと、半年以内の黄熱ワクチンの接種歴がないことを確認してください。
その他のフラビウイルス属ウイルスによる先行感染又は共感染を認める場合は、ペア血清によるIgM抗体以外の方法による確認試験を実施してください。
同じ蚊媒介感染症であるデング熱及びチクングニア熱との鑑別が必要です。その他、チフス、マラリア、レプトスピラ症などとの鑑別も必要です。
対症療法となります。通常は比較的症状が軽く、特別な治療を必要としません。
ジカウイルス病の予後は比較的良好です。症状が悪化した場合は医療機関を受診してください。死亡はまれです。
平成 28 年 2 月 5 日に感染症法の四類感染症、検疫法の検疫感染症に追加され、同年 2 月 15 日に施行されました。これにより医師による保健所への届出が義務となり、検疫所での診察・検査、汚染場所の消毒等措置が可能となりました。
ヒトスジシマカは、日本のほとんどの地域(秋田県および岩手県以南)に分布しています。その活動時期は 5 月中旬~ 10 月下旬です(南西諸島や温暖な地域ではこれよりも活動期は長い)。
ヒトスジシマカの幼虫は、例えば、ベランダにある植木鉢の受け皿や空き缶・ペットボトルに溜まった水、放置されたブルーシートや 古タイヤに溜まった水などによく発生します。
人がよく刺されるのは、墓地、竹林の周辺、茂みのある公園や庭の木陰などとされています。
ヒトスジシマカの体内でウイルスが増えることが確認されています。そのため、ヒトスジシマカの刺咬によりジカウイルスが伝播される可能性があると言えます。
ヒトスジシマカの成虫は、秋になって気温が下がると死んでしまい、卵の状態で冬を越します(卵越冬)。
現在、ネッタイシマカは国内には生息していません。かつては国内でも沖縄や小笠原諸島に生息し、熊本県牛深町には 1944 ~ 1947 年に一時的に生息していたことが記録されていますが、 1955 年以降は国内から消滅したとされています。ただ今日では、航空機によって国内に運ばれる例も確認されており、定着の可能性は皆無ではありません。
ネッタイシマカの分布の北限は台湾の高雄市周辺とされています。従って、国内では沖縄県の南方(石垣島・西表島など)以北の野外では定着できないと考えられます。しかし、空港ターミナルなど、一定の温度が維持されているような特別な 場所では定着できるかもしれません。
ヒトスジシマカは、早朝・日中・夕方(特に日没前後)に活動し、ヤブや木陰などでよく刺されます。その時間帯に屋外で活動する場合は、長袖・長ズボンの着用に留意し、忌避剤の使用も推奨します。 ネッタイシマカは屋内で活動しますので、屋内での服装や対策に留意しなければなりません。
現在日本での流行はありません。しかし、仮に流行地域でウイルスに感染した発症期の人(日本人帰国者ないしは外国人旅行者)が国内で蚊にさされ、その蚊がたまたま他者を吸血した場合に、感染する可能性は低いながらもあり得ます。
国立感染症研究所のリスクアセスメントによると、不顕性感染の患者が感染源となりうるかどうか(刺咬した蚊がウイルスを伝播しうるほどウイルスが増えるか、どのくらいの期間ウイルスが持続するかなど)については、わかっていません。したがって、国内の蚊の活動期においては、ジカウイルス感染症流行地域からの帰国者は症状の有無にかかわらず忌避剤の使用など蚊にさされないための対策を少なくとも2週間程度特に注意を払って行うことが推奨されます。また、問10にもあるとおり、流行地に滞在中は症状の有無にかかわらず性行為の際にコンドームを使用するか性行為を控えること、流行地域から帰国した男性は症状の有無にかかわらず最低4週間、パートナーが妊婦の場合は妊娠期間中、性行為の際に、コンドームを使用するか性行為を控えること、流行地から帰国した女性は帰国後最低4週間は妊娠を控えることを推奨します。